ブログネタ:「前世」って何だった気がする? 参加中
前世、あんた、犬だったね?と、
路上の占いおばさんに声かけられたことがありますぜ、奥さん。
いやね、
水晶玉を覗くと、わかるってんでね。
見てもらいましたよ。えぇ。
「で、オイラの前世は犬だったと?」
「そう、あんた、犬だったね」
「ほほう、で、どんな犬種よ?」
「種類かい?そら、あれだよ。デッカい奴だよ。ま、あたしはソッチのほう、詳しくないからさ」
「ん?詳しくないとかぢゃなくてさ、わかるでしょ。オイラの魂と対話してんだから」
「あれだよ、ほら、クビにウイスキーの樽ぶらさげてるさぁ」
「遭難救助犬??ピレネー犬?とか」
「そーそー、それそれ」
「…おばちゃん、あんた、外見で判断したね?」
「…」
当時、オイラは体重が100kg超えてて、しかもソバージュじみたロンゲで
季節は冬だから、モッコモコのムートン襟付きのフィールドコート着てて、
さらにオウム事件直後だった。。。
「あんた、麻原なんとかにも…」
「あー似てるよ、似てるさ。似てるっていわれますがなにか」
「まぁまぁ、あの男は前世が熊だけど、あんたは犬だから。ぜんぜん違うから」
「前世語られてもね、わかんないのよ。前世だもん」
「あー、ごめんね。ふつう、そうだよね。ふつう。ほら、見えるからさ。あたしの場合」
「おばちゃん、ひとの前世見えて、なにか楽しいかい?」
「んー。ま、それが商売だからねぇ。別に見たくもないときだってあるのよ」
「おばちゃんも大変なんだね」
「あんた、元犬だけに素直でいい子だね」
「いや、前世犬とかそいうことぢゃないから。きっと親のしつけとかの問題だから」
「犬も、そうだっていうよね」
「おばちゃん、いいかげんさ。犬から離れない?つか、離れようよ」
「ま、わかったわかったわよ。…でも、犬なんだよねぇ…」
「一度しんでみるといいと思うよ。おばちゃん。」
「あら、本気で怒っちゃった?ごめんねごめんね。あたしは、良かれと思って…」
「悪意が見えるよ悪意が。言葉の端はしからさ、匂うよ。悪意がっ」
散々からかわれた末に、おばちゃんは袂のある不思議なブラウスの懐に手を入れ
オイラにハイライトを差し出した。
オイラは一瞬のためらいもみせず、2,3本抜くと1本をくわえ、1本は耳にはさみ、
そして1本はおばちゃんの口に放り込んで、ジッポーで火をつけてやった。
「おばちゃん、あんたの前世はバーコードハゲのおっさん刑事だったね。七曲署の」
「そりゃ裕ちゃんのドラマぢゃないか!」
「あだ名はジプシー!」
「あーあ、三田村邦彦のやった…て、設定あるぢゃない!!」
「あ、そうだね。じゃ、あれだ。。。ホームレス」
「ん?」
「ホームレス刑事だって!張り込みしすぎで、アパート帰る時間もなくなって、
部屋かりるのもめんどくさいってホームレスになっちゃった刑事さんだよ」
「あぁ、ま、近いもんあるけどね」
「…おばちゃん、しみじみ言っても、俺、信じないけど」
「かわいそうだと思ってさ、見料1万円ちょうだい」
「やるかっ!」
以上、わりと実話ですた。