或る恋文 (葉山罫・短編小説集「恋愛観測」より)

過去の傷をなぜ
いま この想いに重ねるの?
素敵な気持ちになるために
一緒の時間を重ねるんでしょ?
想い以外は 
すべて後付けなんだから
言葉や理屈や状況なんて
どうにでもなっちゃうんだから
そんなことで泣いて喚いて突き放して
どうしたの?
素敵な気持ちになるために
そばにいるのに
苦しい過去を思い出すからって
未来が不安だからって
この想いを責めるのはやめて
せっかく ようやく 出逢えたんだから

ミタサレナイ (葉山罫・短編小説集「恋愛観測」より) *R指定

凄まじい勢いで屹立する
腕の様な茎を目の前にすると
恐怖心が先に立った
破瓜の痛みを思い出す
激しい出血が止まらず
男も私もただ騒ぐばかりだった
はじめての夜
最悪の思い出だ
気恥ずかしさは
性交そのものよりも
自身の肉体に関する
あまりの無知さ加減に対してだった。。。
大きすぎるにも程がある
あごが疲れるほど口で奉仕させられた後
両足を跳ね上げて 限界まで開かされた
いきなり 乱暴に突き入れてきた
性器の大きい男にありがちな無神経さが
無性に腹が立つ
まともな愛し方もできないで
なにが「気持ちいいだろ?」なのだ
性急な動きで 乱暴に乳房を握る
手入れの足りない指先が 執拗におっぱいの先を嬲る
いらいら、する。
ガラスを爪の先で擦りつける不快な音が
私と男の繋がり目から聴こえてくるようだ
がくがくと腰の動きがはやまり 
男だけが昇りつめている
こころがざらついてくるのがわかる
「声だしていいんだよ」と 
私の女の部分を蹂躙している
馬鹿でかい器官の持ち主が言う
はぁはぁと息を荒げながら
焦らずに ゆっくりと
満たしてくれればいいのに
愛情とは 本来
そういうものでしょうに
妊娠を伴わない生殖行為を行う動物は人間だけ
その行為に意味を欲しがるのも そう
意味なんて ないのにね
意味なんて どこにも ないのに